「アート・フォー・オール」というフリーペーパーがあります。B4の紙を折りたたんだ、小さなフリーペーパーですが、毎号楽しみにしている連載があります。「どうして人はアートを買うのか」と題されたその連載は、書店々主や編集者、サラリーマンまで、さまざまな人が購入した著名なアーティストの作品と購入に至った動機について聞くというインタビュー記事です。

美術館やギャラリーをよく観て回るという人でも、作品を買ったことのある人というと、それほど多くはないのではないでしょうか。海外のオークションで販売されるような作品はともかく、街のギャラリーなどで販売されている作品も、メジャーな作品ほどではなくても、決して安いものばかりではありません。安くないお金を払って、作品を手元におく気持ちにはきっと、作家名の著名度は関係なく、もっと違う気持ちがそこにはあるのではないか、そうであるなら有名なアーティストの作品についてばかりではなく、もっと身近な、顔の見える距離の人たちの「作品のある生活」をのぞいてみたいと思いました。

「どうして人はアートを買うのか」には次のようなリード文がつけられています。


使えないし着られないし食べられない。
ただ飾って眺めるだけのものに、
さて、あなたはお金を払いますか?

着るものも食べるものも、価格の安いものが求められている今だからこそ、自分自身の価値観をハッキリさせる必要があるのかもしれません。